もう3年前になるだろうか。
私の2歳年上の兄を癌で亡くした。
入院していた兄から、声が出なくなった、とメールがあったので至急病院へ見舞いに行った。金曜日だった。
既に余命宣告を受けていた。
主治医の先生に病状を確認したい際に、兄をどこかに連れ出していいですか?
と聞くと、好きなことをやってください。と言ってくれた。
あと何日くらい?と聞くと体は2,3ヶ月は大丈夫かもしれない。
ただ、精神的にはかなり弱っている。とも言われた。
もしかしたら、明日、ということもあり得ますか?と聞くと先生はうなずいた。
病室へ行って兄と会話、というか筆談8割で、くだらない話をした。
回復出来ないことは分かっているので癌の事は話さない。
お互いクルマ、というかドライブは好きなのでドライブの話になった。
遠くの目的地へは行けないので、ドライブそのものを楽しみたい。
そこで、オープンカーをレンタルしよう!
という話になった。
俺がレンタカーを手配したら、連絡するから!
と言って、その日は病院を出た。
翌々日の日曜日。
私はいつものように息子を連れてプールへ行っていた。
そのプールの館内放送で呼び出しがあった。
呼び出しがあったとき、すぐに、もしかして兄のこと?
別の兄弟から、今、息を引き取った、との連絡だった。
オープンカーでドライブって約束したのに!
病院へ見舞いに行った金曜日、兄が亡くなった日曜日、どちらも良い天気だった。